福祉用具貸与・特定福祉用具販売事業の開業・立ち上げ

福祉用具貸与は日常生活を営むのに支障のある要介護者が自立した日常生活が送れるように居宅で介護を受けるために必要なものを要介護者の介護状態に合わせて、適切な福祉用具の選定、取り付け、調整等を行うサービスをいいます。
特定福祉用具販売は、厚生労働大臣が定める福祉用具のうち、入浴・排せつの用に供するもの等貸与になじまないものの販売を行うサービスをいいます。

福祉用具貸与・特定福祉用具販売事業の開業には、事業所の所在地の都道府県に介護事業者指定申請を行い、指定介護事業者として許可を受けなければなりません。

福祉用具の貸与・販売対象種目

介護保険において、福祉用具は原則レンタル支給となりますが、入浴・排せつの用に供するもの等貸与になじまないものは特定福祉用具として販売対象となります。

【福祉用具の貸与対象種目】

・車いす
・車いす付属品
・特殊寝台
・特殊寝台付属品
・体位変換器
・認知症老人徘徊感知機器
・床ずれ予防用具
・移動用リフト
・歩行器
・歩行補助つえ
・手すり
・スロープ
・自動排泄処理装置

【福祉用具の販売対象種目】
・腰掛便座
・特殊尿器
・入浴補助用具
・簡易浴槽
・移動用リフトの吊り具部分

福祉用具貸与・特定福祉用具販売事業開業・立ち上げの要件

1.法人格の取得
福祉用具貸与・特定福祉用具販売事業開業・立ち上げには法人格を取得している必要があります。
法人格の種類は株式会社、合同会社、NPO法人、社会福祉法人、医療法人などがあります。

2.人員基準
・常勤の管理者の設置
常勤の管理者は、事業所ごとに1名配置します。資格要件は設けられていません。常勤の管理者は、専門相談員との兼務ができます。

・福祉用具専門相談員(常勤換算方法で2人以上)の設置
福祉用具専門相談員(介護福祉士、義肢装具士、保健士、看護士、准看護士、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、ホームヘルパー養成研修1級課程・2級課程修了者、厚生大臣が指定した講習会の課程を修了した者、)は、常勤換算で2.5人以上(サービス提供責任者を含む)配置します。
常勤換算方法は、当該事業所の従業者の1週間の合計勤務時間を、常勤職員が1週間に勤務すべき勤務時間(週32時間を下回る場合は32時間で計算する)で除して、非常勤職員・パート職員の人数を一般常勤職員の人数に換算する方法をいいます。

3.設備基準
・事業の運営を行なうため必要な広さを有した専用の事務室を設ける
・相談室が利用者及びその家族のプライバシーを確保した構造となっている
・消毒・補修が完了している福祉用具とそれ以外の福祉用具を区分できること
・福祉用具貸与・特定福祉用具販売に必要な設備・備品の設置(事務機器、鍵付き書庫、手指消毒液(速乾性)の設備など)

4.運営・その他
運営基準は、下記要件を満たす必要があります。
・利用者の希望・状況等に応じた適切な福祉用具の提供
・福祉用具の説明・点検・調整・修理等
・多くの福祉用具を取り扱うこと
・適切な消毒・保管(委託可能)
・提供するサービスの評価・改善
・サービス提供拒否の禁止
正当な理由がなくサービス提供の拒否はできません。

・サービス提供困難時の対応
事業実施地域等の関係で適切な提供が困難な場合は、他事業者の紹介等を行います。

・運営規程の整備
事業の目的・運営の方針
職員の職種・職務内容・員数
福祉用具貸与・特定福祉用具販売の提供方法・内容・利用料その他の費用の額
通常の事業の実施地域
営業日・営業時間
緊急時等の対応
運営に関する重要事項

5.衛生管理
衛生管理が保持できる事業所でなければなりません。

6.秘密保持
プライバシー保護の観点から秘密保持が課せられます。

7.苦情、事故発生時の対応
利用者・家族の苦情に迅速・適切に対応して内容等を記録します。

福祉用具貸与・特定福祉用具販売事業指定申請の必要書類

  • 指定居宅サービス事業者指定申請書
  • 福祉用具貸与事業者・特定福祉用具販売事業者の指定にかかる記載事項
  • 役員名簿
  • 福祉用具の保管及び消毒の方法を記載した書類
  • 専門相談員の資格を証するものの写し
  • 料金表
  • 保管・消毒を委託する場合は委託契約書の写し
  • 申請者(開設者)の定款又は寄付行為の写し
  • 登記事項証明書(3ヶ月以内のもの)
  • 欠格事由に該当していない旨の誓約書
  • 決算書
  • 財産目録
  • 事業計画書
  • 収支予算書
  • 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
  • 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表
  • 土地・建物の賃貸借契約書等の写し
  • 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
  • 事業所の平面図
  • 建物・事務所内部の写真
  • 案内図(近隣見取り図)
  • 組織体制図
  • 雇用(予定)証明書
  • 管理者経歴書
  • 就業規則(原本証明が必要)
  • 運営規程
  • 苦情を処理するために講ずる措置の概要
  • 損害賠償保険証の写し
  • 契約書・重要事項説明書
  • 関係法令を遵守する旨の契約書


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